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高・低気圧,前線

高気圧・低気圧,前線に関する研究メモ

高気圧・低気圧など,気象学分野でいうところの「総観規模擾乱」 に関する個人的メモ. 前線は,移動性の低気圧に伴われているもののみを対象としており, 梅雨 & 秋雨前線は対象外とする.

個別の低気圧事例については, お気に入り低気圧リスト にまとめた.

また,一般的な(教科書的な)知識などの記述は少ない(つもり). 一般的な知識については, 参考文献 を参照.

低気圧活動

ひとくちに「低気圧活動」といっても,何の「活動」に着目するかにより 評価は異なるだろう. ここでは,「地上天気図に描かれる低気圧」を対象とし, 最も基本的な統計量である,

  低気圧個数(頻度),低気圧経路,低気圧の強さ(発達率,最低気圧,気圧傾度)

について紹介する.

対象地域は,特に但し書きが無い限り,日本付近(東アジア〜北西太平洋)とする. また,低気圧活動に関する統計値は, Hayasaki and Kawamura (2012 SOLA) の結果に基づく (論文PDF).

 個数(頻度)

  • 日本付近 (ここでは 130 - 150E, 30 - 50N) を通過する低気圧個数

 季節変化

  • 月平均頻度(各月での低気圧個数平均値,単位は count / month)は,初春(3月)に最大
  • 「強い低気圧」であれば,冬に多い. 『強い』は複数の指標で定義されるので,詳細は後述
  • 現時点(2012-12-10)では,熱帯低気圧(台風)も混在.特に,10月,5月は注意が必要.
    • 10月: 全低気圧(383個/33-yr)の約12%(47個/33-yr), 爆弾低気圧(108個/33-yr)の約2割(22個/33-yr)が 熱帯域(20N より低緯度)で発生
    • 5月: 全低気圧(426個)の約4%(15個/33-yr), 爆弾低気圧(41個)の約15% (6個/33-yr)が熱帯域で発生.
    • 10, 5月以外: 熱帯起源の低気圧数は少ない(0 - 8個/33-yr).
  • 下の表にある低気圧平均個数,解釈に注意. 日本海低気圧と南岸低気圧を足し合わせても日本周辺の総数にならない(不足する). 低気圧を選択する地域区分が異なることに起因する(日本海低気圧の選択範囲と 南岸底気圧の選択範囲を合わせても「日本周辺(30-50N, 130-150E)」の地域と一致しない). 不足分の多くは,日本の東の海上にて発生する低気圧.
表1: 日本付近(30-50N, 130-150E) を通過する全低気圧・爆弾低気圧の頻度(単位: 平均個数/month). 10月ー5月のみ,1979年10月〜2012年5月の平均(33-yr mean). 使用データは JRA25/JCDAS (1.25 deg.間隔), 低気圧トラッキング手法は Hayasaki and Kawamura (2012 SOLA) 参照(この論文の supplement 2 とほぼ同じ,ただし解析期間延長版).
日本周辺 Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May
total cyclone 11.6 10.2 10.6 10.8 11.3 14.5 12.8 12.9
explosive cyclone 3.6 4.3 5.6 5.6 5.7 6.3 2.8 1.2
表2: 表1と同様. ただし, 日本海低気圧・南岸低気圧の月別全低気圧・爆弾低気圧の頻度(単位: 平均個数/month). JRA25/JCDAS (1980 - 2012 ONDJFMAM; 33-yr). 経路ごとの低気圧選択基準は,別ページ参照 (under construction).
日本海低気圧 Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May
total cyclone 4.68 4.42 5.39 4.75 4.90 6.21 5.33 5.30
explosive cyclone 1.39 1.87 2.93 2.21 1.93 2.51 1.33 0.42
total cyclone (w/o tropical origin) 4.51 4.39 5.39 4.75 4.90 6.21 5.33 5.24
explosive cyclone (w/o tropical origin) 1.30 1.87 2.93 2.21 1.93 2.51 1.33 0.39
南岸低気圧 Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May
total cyclone 2.84 2.02 1.69 2.63 3.24 4.57 4.57 4.32
explosive cyclone 0.90 0.93 0.84 1.69 2.09 2.42 0.96 0.57
total cyclone (w/o tropical origin) 1.60 1.48 1.51 2.63 3.24 4.57 4.45 3.60
explosive cyclone (w/o tropical origin) 0.39 0.63 0.72 1.69 2.09 2.42 0.87 0.30
表3: 表2と同様. ただし,JRA55評価版 (1959 - 2004 ONDJFMAM; 46-yr) を用いた場合の 日本海低気圧・南岸低気圧の月別全低気圧・爆弾低気圧の頻度(単位: 平均個数/month).
日本海低気圧 Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May
total cyclone 4.84 4.90 5.95 5.34 4.89 6.28 6.21 5.54
explosive cyclone 1.43 2.12 3.13 2.80 1.84 2.06 1.50 0.54
total cyclone (w/o tropical origin) 4.71 4.86 5.95 5.34 4.89 6.28 6.21 5.52
explosive cyclone (w/o tropical origin) 1.30 2.08 3.13 2.80 1.84 2.06 1.50 0.54
南岸低気圧 Oct Nov Dec Jan Feb Mar Apr May
total cyclone 2.91 2.16 1.67 2.88 3.56 5.06 4.43 4.83
explosive cyclone 0.86 1.13 0.95 1.67 2.23 2.36 0.88 0.65
total cyclone (w/o tropical origin) 1.76 1.45 1.50 2.86 3.54 5.02 4.17 4.23
explosive cyclone (w/o tropical origin) 0.28 0.63 0.80 1.67 2.21 2.32 0.80 0.50

ひとことメモ. 本ページ記載の情報を使って,いろいろな研究・解析をおこなっても構わない. 学校などの教育機関で資料として使いたい場合も,自由に使用して構わない. というか,そうなってくれれば嬉しい.

しかし, 個人・団体等の利益誘導を目的として 本ページ記載の文章の一部を借用・許可なく転載する事は禁じる.

  • 寒候期の日本周辺では,1ヶ月あたり10-14個程度の低気圧が通過.
  • 低気圧発生地点が熱帯(便宜的に20N以南とする)である低気圧を 仮に「台風」とみなして低気圧総数から 除外した場合も表示(w/o tropical origin の部分).
  • 経路タイプ判別を簡便におこなうために,日本海低気圧・南岸低気圧のごく一部は重複してカウント. しかし,重複している低気圧数は,33年合計でも1ヶ月あたり10個に満たない. 全サンプル数を考えれば,重複による過剰カウントはほぼ無視して構わない(最大でも全サンプルの5%未満)
  • 日本周辺を通過する全低気圧(表1)のうち, いわゆる爆弾低気圧(最大発達率が 1.0 bergeron 以上)は4-5割(Nov - Mar では). つまり,特に珍しい現象ではなく,むしろありふれた現象.
  • 日本海低気圧は,初冬(Dec)および初春(Mar)で活発 (全低気圧,爆弾低気圧の頻度は真冬Jan, Febで一度減少).
  • 南岸低気圧は,初冬(Dec)に頻度極小,初春で最も活発(全低気圧,爆弾低気圧の頻度が Mar に極大).

 年々変動・長期(十年規模)変動

現在解析中(2012-12-10).

  • 爆弾低気圧の頻度が近年増加しているか否か,現時点では断定できず. 表1, 2 の元データ(各年の低気圧個数)を使って私が解析した限りでは, 統計的に有意な長期トレンドはない. 「特に強い爆弾低気圧の頻度」についても同じ.
  • しかし,いわゆる温暖化に伴って,将来は頻度増加する可能性はある. 実際,将来予測実験などでそのような結果を報告する研究もある. 個人的に興味がある今後の研究課題の一つである.

 経路

 季節変化

  • 冬季は主に2経路. (1) 南岸低気圧,(2) 日本海低気圧.
  • 上記2経路ほど明瞭でないが, さらに高緯度(50-60N)にも低気圧経路頻度の極大あり. 季節では主に秋〜初冬あたり,オホーツク海付近. 北海道を除けば日本の気象に直接影響を及ぼすことは少ない(と思われる). オホーツク海の海氷変動と関連する可能性は十分ありうる(が未確認).
  • 頻度最大となる初春(3月)は,南岸低気圧型の経路に集中する
  • モンゴル東部〜中国北東部で発生する「大陸起源低気圧」は, 3月以後急速に頻度が増加し,4 or 5月に頻度最大となる.

これらの結果は,Hayasaki and Kawamura (2012 SOLA)Supplementary materials を参照.

 低気圧経路頻度の月別空間分布(平年値, 日本付近)

低気圧経路の月別平年値(Sep1979-Aug2012平均). JRA25/JCDAS のSLP使用. 等緯度経度格子のSLPデータを Equal Area Scalable Earth (EASE) 格子 (145 x 145 grid, nominal cell size = 125 km; フォーマット詳細: Original EASE-Grid Format Description) に再配置.

周囲の点より 0.5 hPa 以上低い格子点を 「低気圧の中心」とする. この低気圧検出・追跡アルゴリズムは Hayasaki and Kawamura (2012 SOLA)にて使用.

Monthly climatology of cyclone track frequency in East Asia - western North Pacific. Color shades: cyclone track frequency (unit: count / month), solid contour over ocean: monthly mean sea surface temperature (2 K interval), brown line over land area: 1000 m above mean sea level. Dashed line: study area for determinig primary cyclone track (triangles).

低気圧経路頻度の月別平年値 (winter; DJF)
Dec Jan Feb
Monthly climatology (Dec) of cyclone track frequency around Japan Monthly climatology (Jan) of cyclone track frequency around Japan Monthly climatology (Feb) of cyclone track frequency around Japan
低気圧経路頻度の月別平年値 (spring; MAM)
Mar Apr May
Monthly climatology (Mar) of cyclone track frequency around Japan Monthly climatology (Apr) of cyclone track frequency around Japan Monthly climatology (May) of cyclone track frequency around Japan
低気圧経路頻度の月別平年値 (summer; JJA)
Jun Jul Aug
Monthly climatology (Jun) of cyclone track frequency around Japan Monthly climatology (Jul) of cyclone track frequency around Japan Monthly climatology (Aug) of cyclone track frequency around Japan
低気圧経路頻度の月別平年値 (autumn; SON)
Sep Oct Nov
Monthly climatology (Sep) of cyclone track frequency around Japan Monthly climatology (Oct) of cyclone track frequency around Japan Monthly climatology (Nov) of cyclone track frequency around Japan

 低気圧経路頻度の月別空間分布(平年値, NH)

低気圧経路頻度(カラー)および海面水温(実線,2度間隔)の月平年値. 海抜高度 1000 m (2000 m) 以上の山岳域を茶色 (黒色) にて低気圧経路頻度を非表示. 85N以北は低気圧トラッキングしていない.

Monthly climatology of cyclone track frequency in the Northern Hemisphere (20N-NP). Color shades: cyclone track frequency (unit: count / month), solid contour over ocean: monthly mean sea surface temperature (2 K interval), brown (black) color over land area: 1000 m (2000 m) above mean sea level.

低気圧経路頻度の月別平年値 (winter; DJF)
Dec Jan Feb
Monthly climatology (Dec) of cyclone track frequency over NH Monthly climatology (Jan) of cyclone track frequency over NH Monthly climatology (Feb) of cyclone track frequency over NH
低気圧経路頻度の月別平年値 (spring; MAM)
Mar Apr May
Monthly climatology (Mar) of cyclone track frequency over NH Monthly climatology (Apr) of cyclone track frequency over NH Monthly climatology (May) of cyclone track frequency over NH
低気圧経路頻度の月別平年値 (summer; JJA)
Jun Jul Aug
Monthly climatology (Jun) of cyclone track frequency over NH Monthly climatology (Jul) of cyclone track frequency over NH Monthly climatology (Aug) of cyclone track frequency over NH
低気圧経路頻度の月別平年値 (autumn; SON)
Sep Oct Nov
Monthly climatology (Sep) of cyclone track frequency over NH Monthly climatology (Oct) of cyclone track frequency over NH Monthly climatology (Nov) of cyclone track frequency over NH

 図の解釈・使用上の注意

  • SLP極小値のみを検出・追跡して「低気圧経路」とみなしているため, 気象庁天気図などで解析される低気圧とは一致していない事もある
    • 前線上の小規模低気圧: 元々のデータは,1.25 度間隔. したがって,水平気圧傾度が小さい小規模低気圧の検出が苦手. 例: 梅雨前線上のメソ低気圧,寒冷前線上に発生する二次低気圧など.
    • 2つ玉低気圧(の一方): 一方の低気圧が発生後すぐに併合した場合,短命な低気圧が除外される (本研究では,24時間以上のライフタイムをもつ低気圧のみ解析対象としている).
    • 近接して複数の低気圧が存在する場合(上記2つのケースとも関連): 低気圧移動方向に関する制約を課していないので, 時空間的に不連続に見える経路となる事がある.
  • 温帯低気圧と熱帯低気圧(台風,ハリケーンなど)とを区別していない. 暖候期に低緯度側から日本付近にかけて低気圧頻度増加しているのは, 台風を含んでいるため.

 強さ(発達率,最低気圧)

低気圧の「強さ」といっても,研究対象により評価する指標は異なるであろう. 比較的よく利用される指標としては,以下の通り:

  • 中心気圧: 低気圧中心のSLPの値. 天気図から読み取れるので,古典的な低気圧トラッキングなどで使い易い指標であろう. 天気図で比較的馴染みがあるので,専門家でない人に対して説明するのが簡単という のが長所. ただし,中心気圧が低いからといって,必ずしも「強い風が吹く」 or 「強い雨が降る」というわけではない. 低気圧中心SLPでなく,SLPの水平勾配から計算される地衡風速を使えば, 水平風の強さを見る指標として使えるだろう. SLP のラプラシアンを使っている場合もある.
  • 発達率: 低気圧中心気圧の降下量.慣習的に 12時間あたりとか24時間あたりの気圧降下量 を用いることが多い. これも上記同様の長所・短所がある. いわゆる爆弾低気圧 (bomb cyclone, explosively deepening cyclone, etc.)の 検出定義に使われている(see Sanders and Gyakum 1980; Roebber 1984; Yoshida and Asuma 2004). 低気圧中心の緯度で補正するのが一般的.
  • 渦度(ないし渦位): 低気圧中心付近での相対渦度の極大値などを使ったりする. 850-hPa 面あたりを使うことが多いようだ. 渦度であれば,渦の回転の強さを見ていることになるので,風の強さに関する指標といえるだろう. 渦位の場合,強さの指標というより,(カップリング発達に必要な)上層渦の 強さを見るために使われることが多いようだ.

 季節変化

  • 急速に発達する低気圧(いわゆる爆弾低気圧)は,晩秋〜初春で多発. 冬季だと,日本付近を通過する低気圧のほぼ半分が爆弾低気圧に相当する発達率になる (本ページ表1. See also supplements in Hayasaki and Kawamura (2012 SOLA))

前線活動

おもな対象は,移動性擾乱(いわゆる「ふつうの」温帯低気圧)に伴う前線活動. 梅雨・秋雨など停滞前線に関しては,検出手法の都合により解析が困難. コンテンツは準備中(2012-01-19).

高気圧活動

総観規模の高気圧 (移動性高気圧) を対象とした「高気圧活動』を 包括的に研究した学術論文は... 私の知る限り過去に無い. なぜ先行研究が少ない(or 無い)のか? 以下は私見.

晴天になるから (よほど継続しない限り,気象災害をもたらすことがない)から
一般に,社会的には晴天は歓迎されることが多い. 晴天が長期にわたり持続すれば,旱魃や熱波をもたらすので問題視される. したがって,停滞する(or 長期間継続する)高気圧は, 気候学的には非常に人気のある研究対象である(ex. blocking high). しかし,日本の春や秋の移動性高気圧による(数日程度の)晴天くらいだと, 気象学の分野では問題視されにくい. 大気汚染関連分野では,光化学オキシダント濃度上昇をもたらしたり,大陸起源汚染物質の 日本への輸送をもたらすなど,重要視されている.
気象学者が興味を持つプロセスが少ない
気象学者,特に大気力学屋さんは,『不安定』が好き. 高気圧に関しても「順圧不安定」がありうるが, 非常に発達したシベリア高気圧でもない限り, 地球上では順圧不安定になることはほとんど無い(と思う). また,順圧不安定は高気圧を弱めるように作用するので, この点でも力学屋さんにとっては興味を持ちにくそう.
なお,ブロッキング高気圧のような(準)停滞性高気圧なら,数多くの気象学者が 非常に多くの研究をおこなってきた.
''tracking'' しにくい
低気圧は明確な「中心」を決定しやすく,中心を時間的に追跡することで 低気圧経路として決定できる。 それに対し,高気圧は明確な中心を定義するのが困難である. それゆえ,「低気圧経路」が中心位置の通過経路という『線』で 表現できるのに対し,「高気圧経路」を『線』で定義することに積極的な意義を見出しにくい.
カネにならない
問題視されにくいがゆえに,研究費を獲得できない. どれだけカネを取れるか,という点が研究者の評価軸として存在するため, 特に期限つきのポジションの場合,「カネのつかない研究」 を実施・継続するのは難しい. 学問に従事する者の一人としては悲しいことだが, 研究者として「生きていく」ためには仕方のないことかもしれない

低気圧トラッキング Methodology of cyclone tracking

cyclone & eddy activity に関する素朴な疑問

荷物整理していたら,大学院生当時の「疑問メモ集」が出てきた. 現時点で,これら疑問が解決しているのか未確認. そもそも,当時の自分が不勉強なだけで,とうに理解されているのかもしれない. 記録の意味で電子化しておく.

  • 1999-02-15: Pac と Atl で eddy activity が逆phase,というのはホンマか? (Higgins and Schubert, 1993 JAS)
    Lau (1988, p2725下) では,相関なし,とされている.
  • 1999-02-15: 「cold surge に時空間 phase lock がある(らしい)」というのはホンマか? (see Lau and Lau 1984)
  • 1999-02-15: cold surge から Pac blocking というのはホンマか? (see Lau and Lau 1984)

参考文献・Webサイト

web情報

低気圧トラックング

  1. 爆弾低気圧情報データベース (九大理学,対流圏科学分野・川村研究室,in Japanese)
    • 1996 - 2013年で日本付近を通過した急発達する低気圧(いわゆる爆弾低気圧)に関するデータベースを閲覧可能.
    • CSVダウンロード機能もある(2014-03-05 追加).
    • 天気図(JRA25/JCDAS のSLP),気象衛星画像(高知大学気象情報頁より),中心位置&中心気圧表示など.
    • 発達率の上位のみ表示、期間を選択して検索,年別&月別個数などの情報が得られる
    • 2012年6月6日より暫定公開開始.災害などの付加情報が準備中.
  2. University of Melbourne Automatic Cyclone Tracking Home Page(メルボルン大学,in English)
    • SLPラプラシアンを使った cyclone tracking 手法.See Murray and Simmonds 1991a, b (Australian Meteorological Magazine, vol. 39, 155-166 & 167-180)
    • 複数の客観解析データを使った cyclone tracking を提供. ERA40 (1957 - 2002), NCEP Reanalysis (いわゆるNCEP1; 1958 - ongoing), NCEP Reanalysis 2 NCEP2; 1979 - ongoing), JRA25/JCDAS (1979 - ongoing) が利用可能
    • なぜかアクセスできなくなっている(Code 404 Page not found.; 2012-12-19 確認).理由は不明.
  3. University of Reading Extratropical Cyclone Atlas(レディング大学,in English)
    • 空間平滑化(T42切断)した850 hPa 相対渦度を使った cyclone tracking 手法. See Hodges (Mon. Wea. Rev., 1995, p.3458- & 1999, p.1362, respectively)
    • 北大西洋域 (70 - 90W, 30 - 90 N), 1000 km 以上の移動距離,lifetime 60-hr 以上のみ. ERA Interim (1989 - 2009)使用. 選択された全低気圧 (1050個)から,低気圧中心での相対渦度の最大値が上位200個の低気圧のみを選択. 「典型的な強い低気圧を選択した」ということ.
    • 選択した低気圧に関する合成図解析. 非常に多くの要素について示している. 使用要素: cloud cover, divergence, geopotential, 海面気圧, 温位面の気圧,相対湿度,相対渦度,気温,相当温位(equivalent potential temp.), 鉛直速度(omega), 水平風,水平風(低気圧に対する相対風.一般風を差し引きしてる).
    • 研究者だけでなく,教育に従事する人にも使ってほしい... と述べている. 私見だが,「低気圧に関する教育用資料」が増えてくれる事は大歓迎.
    • future plans の一部に,「太平洋域での atlas 作成」も記述されてた. これも非常に喜ばしいことだ.しかし,日本在住の一研究者として, 自分でも情報を出していきたいと思う.
  4. Storm tracks (CPC, NWS, NOAA; in English)
    • 低気圧経路(中心気圧により色分けしてるので「強さ」の情報も),降水量,水平風,波高,海氷などの情報あり.
    • SLP極小値を検出・追跡. Serreze (1995, Atmos.-Ocean), Serreze et al. (1997, J. Clim.) と同じ手法らしい. ということは,私(早崎)が作った低気圧経路データとほぼ同じはず.
    • 過去10日,30日,90日間の重ね合わせ経路と上記変数の期間平均値を表示
    • 「北米」地域: 日本付近からヨーロッパの西端まで.Pacific & Atlantic storm track をほぼ網羅
    • 「北米」地域のページでは,気候値やENSO時の合成図なども利用可能.
  5. Profile of Mark Serreze (NSIDC)
    • Serreze さん(NSIDC Director) の profile が掲載.顔写真あり. Publications がまとめてあるので,Serreze さんの論文(共著含む)へ容易にアクセスできる
    • 私の低気圧トラッキング手法は,Serreze さん作成のものを,ほぼそのまま使っているだけ. 現在使用中(2014-11-07版)のトラッキング手法のテクニカルな部分に関して,私個人の独創性は何もありません. 残念ながら個人的に面識はないのですが,心の底から感謝しております.

災害情報

「低気圧のみによる災害」ではない. 台風や梅雨前線による災害も数多く含まれる.

コラム記事など

  • 【コラム】爆弾低気圧は異常気象か? (吉田聡さん,JAMSTECニュース)
    • JRA55による平年値で日本を含む北太平洋における爆弾低気圧の頻度と寒候期(Nov-Apr)平均からの偏差. 日本付近では,3月に通過頻度が最多となる.
    • 面白いたとえ.台風(熱帯低気圧): 強大な力を保持したまま近づくゴジラ,爆弾低気圧:普段おとなしい人が急に巨大化して強くなるウルトラマン
    • 2016年1月19日の爆弾低気圧を例に,気象庁の週間アンサンブル予報(アンサンブルメンバ数: 27個)では, どのくらい前から急発達を予報できていたのかを示す. 7日前でも30%,5日前では90%のメンバで急発達を予報. 非常に高い精度で予報できていると言える.
    • 高い予報精度となるための重要なポイントは,急発達をもたらす渦(複数)が数値予報モデルで再現されているか否か. 亜熱帯ジェット上の渦と寒帯前線ジェット上の渦との相互作用による発達が重要そうだ.

和書

総観気象学入門 (2000; 小倉義光,東京大学出版会)
低気圧関連の和書で,現状で入手が容易なものに限れば,ほぼ唯一の専門書だろう. 自分が大学生の頃(1990年代前半)に「こんな本があったらいいのに」と切望していた書籍. 何がいいって,表紙の絵ですよ. conveyor belt, tropopause folding (dynamical tropopause), dry intrusion, ... これだよ,これ! タイトルと表紙のポンチ絵を見た瞬間,購入即決.
新しい気象力学 -気象の謎を解く鍵をあたえる- (1986; 岸保勘三郎・佐藤信夫,東京堂出版)
第II期気象学のプロムナードの1. 現在でも入手できるかどうか,未確認. 私はこの本で渦位を学んだ.
大気科学講座 2 雲や降水を伴う大気 (1981; 浅井冨雄・武田喬男・木村竜治,東京大学出版会)
古い本だが,温帯低気圧に関しての記述あり. 現在でも入手できるかどうか,未確認. 最近読んでないけど,今読み返してみるのも良さそうだ. 当時からみて理解の進んだ点は何か? 逆に,それほど進歩してない部分はないか? 自分の研究を見つめ直すきっかけになるかもしれない.

洋書

Midlatitude Synoptic Meteorology: Dynamics, Analysis, and Forecasting
(2011; Gary Lackmon, Univ. Chicago Press; pp. 360)
未読 & 未購入.AMS の web を見ていて,偶然見つけた(2012-01-19). Contents を見るだけでも,かなり興味深い. これも表紙に惹かれる. AMS会員なら,paper back が 75ドルという割引価格で購入できる. どうやら,eBook でも購入できるらしい.eBook 版の価格は未確認. 紙媒体の方が読みやすいのは確かだが,自分は異動に伴う引越しが多い. 出来ることなら,荷物になる紙媒体は極力減らしたい. これまで,紙媒体の Jouranal は異動のたびに廃棄してきた. 問題になるのが,この本のような専門書の類. eBook 購入での長所・短所を検討した上で, 専門書の電子媒体化に踏み切るか否かを決定しよう.
Mid-Latitude Atmospheric Dynamics (2006; J.E. Martin, John Wiley & Sons, Ltd)
書名に A First Course と付いているくらいなので, 初学者向けと言えるだろう. 総観規模擾乱に関して理解することが主目的のようだ. 前半は基礎的な解説が主. 数式や概念図だけでなく,実際の大気場の解析例も各所に配置してある. 個人的には好感の持てる洋書のひとつ. なお,私がこれを買ったきっかけも,小倉先生の書籍と同様,表紙の絵. 低気圧の渦っていいよねぇ... Kindle版も購入可能 (約6000円; checked: 2013-09-26; See Amazon web)
Northeast Snowstorms Vol. I & II (2004; Paul J. Kocin, Louis W. Uccellini, AMS, Meteorological Monographs Vol. 32)
北米の北東部に大雪をもたらす低気圧 (northeast snowstorms) の概要紹介 (Vol. I) & 事例解析集 (Vol. II). 豊富な解析例を示しており,データブックとして傍らに置いておきたいもの. こういうものの日本周辺版があるととても便利なのだが... まあ,無いのなら自分で作ればいい.
Synoptic-Dynamic Meteorology and Weather Analysis and Forecasting: A Tribute to Fred Sanders (2008; Lance F. Bosart, Howard B. Bluestein (Eds.), AMS, Meteorological Monographs Vol. 33)
低気圧関連研究で非常に著明な研究者の一人,故 フレデリック サンダース氏への tribute 論文集. サンダース氏と関係の深い著明な研究者(弟子なども含む)による,低気圧・前線に関連する論文. 過去の研究の流れをつかむことのできる,一種のレビュー論文として利用価値が高い. 論文著者の顔写真入りなのも良.

学術論文

数が多すぎるので,全論文にコメントするのは無理だし,情報選別にもかなりの時間が必要. 重要な and/or 自分が気に入ったものについて, 時間を見つけてメモを追記. 上から掲載年の新しい順に記載(2012-06-11 変更),

なお,掲載Journal のうち,頭文字だけの略称表記になっているものは 気象学分野で一般的な学術雑誌. MWR: Monthly Weather Review, JAS: Journal of the Atmospheric Sciences, など. 参照: 学術雑誌・論文情報

  1. Hayasaki et al. (2013, GRL)
  2. Neu et al. (2013, BAMS)
    • Title = IMILAST: A Community Effort to Intercompare Extratropical Cyclone Detection and Tracking Algorithms
    • the Intercomparison of Mid Latitude Storm Diagnostics (IMILAST; see www.proclim.ch/imilast/; 「温帯低気圧トラッキング」の『世界大会』
    • 手順の異なる低気圧トラッキング手法の相互比較.同一データを使って,各手法が持つ特徴を明かにした.
    • 低気圧頻度,強さ,ライフサイクル,トラック経路などを比較.
    • 日本からも稲津さんが参加.
    • おおまかな地理的分布や年々変動は,手法が異なってもほぼ類似した傾向. ただし,低気圧頻度については,手法間でのばらつきが大きい.「弱い低気圧」の検出が得意・不得意な手法があるためと思われる.
  3. Mizuta (2012, GRL)
    • Title = Intensification of extratropical cyclones associated with the polar jet change in the CMIP5 global warming projections
    • CMIP5 Multi model ensemble mean (MMEMs), poleward shift of cyclone tracks in the N. Pacific & N. Atlantic
    • 使用モデル: 11個 (BCC-CSM1.1, CCSM4, CSIRO-Mk3-6-0, GFDL-ESM2G, HadGEM2-CC, INMCM4, IPSL-CM5A-LR, MIROC5, MPI-ESM-LR, MRI-CGCM3, NorESM1-M)
    • 解析対象: intense cyclone (SLP < 980-hPa)
    • 解析期間: 1979-2003 (20C3M), 2075-2099 (RCP4.5 run)
    • 比較対象 (再解析): SLP, u, v of JRA25
    • cyclone detection: 1.25 degree 間隔にデータ内挿, 0.3 hPa 以上周囲の点より低圧を低気圧中心とする
    • cyclone tracking: 15日移動平均した 700-hPa (u, v) を「低気圧移動をもたらす背景風」として使用. 6時間後の「予測中心点」を前述の背景風より算出.そこから半径 300 km 以内に位置する低気圧中心を 「低気圧の移動先」と考える. See Mizuta et al. (2011, JC)
  4. Hayasaki and Kawamura (2012, SOLA)
    • Title = Cyclone activities in heavy rainfall episodes in Japan during spring season
    • 初春(Mar)に日本周辺を通過する低気圧,特に大雨をもたらすものを解析対象(1982-2009)
    • 大雨をもたらす低気圧は,中程度の雨をもたらす低気圧に比べ,より西側(東シナ海)で発生しやすい.
    • 最大発達位置も西寄りで,低気圧中心は日本列島上を通過しやすい.中程度の雨をもたらす低気圧は,日本列島の南岸を通過しやすい.
    • 大雨をもたらす低気圧は,その前面(東側)に優勢な高気圧偏差を伴う. 低気圧と高気圧の間では,強化された南よりの風に伴い,水蒸気フラックスが増加.強化された水蒸気フラックス収束により, 降水増加をもたらしたと考えられる.でも,肝心の水蒸気フラックス収束を示してない.
    • 2014年2月の南岸低気圧に伴う首都圏での大雪においても, 南岸低気圧前面(東側)で高気圧が存在したため,低気圧の移動速度が遅かった. 一種のブロッキング,Hayasaki and Kawamura (2012)では3月を解析対象としたが,2月でもほぼ同様の結果だった(not shown).
  5. Hodges et al. (2011, JC)
  6. Inatsu (2009, Atmos. Sci. Lett.)
    • Title = The neighbor enclosed area tracking algorithm for extratropical wintertime cyclones
    • 低気圧追跡に関する新たな手法(neighbor enclosed area tracking; NEAT)の提案. 日本語訳は「隣接閉領域トラッキング」. (see 稲津さんのweb page (北大))
    • 古典的な低気圧中心のトラッキングでは取得できない情報を得ることが出来る. 例えば,2つ玉低気圧の併合. 寒候期の日本付近における低気圧活動を考える上で,2つ玉低気圧に関する統計情報 を得ることは重要だろう.
  7. Ulbrich et al. (2009, Theor. Appl. Climatol.)
    • Title = Extra-tropical cyclones in the present and future climate: a review
    • 現在気候・将来気候(温暖化時)における低気圧活動に関する包括的レビュー.
    • 先行研究で得られた低気圧活動に関する結果は,評価に用いた低気圧活動の指標により表現されるものが異なる事がある. 各論文の結論を上っ面だけ引用したりすると痛い目に遭うので注意.
  8. Adachi et al. (2007, SOLA)
  9. 櫃間 (2006, 天気)
    • Title = 二つ玉低気圧
    • 『気象談話室』の記事.日本人こそ,日本付近の低気圧についてもっと研究しよう!... と呼びかけてる文書.その通りだと思う.
    • この文書の最後にある,『琉球列島付近で頻繁に見られる,鋭く,長い対流雲列』については, Miyama et al. (2012, Tellus)にて解析されている. 『大陸寒気と黒潮暖気との直接的出会い』という表現が興味深い.
  10. 小倉義光先生による「お天気の見方・楽しみ方」シリーズから,総観規模の低気圧関連のみ抜粋 (2005-2011; シリーズ全体は継続中... なのかな? 未確認). ページ番号は天気1年間の通しページで表記.
  11. 北畠 (2005, 気象庁研究時報 vol. 57, No. 2, p.27-57)
    • Title = 前線の考え方の過去と現在
    • 総観規模の前線の構造に関する考え方の歴史的な変遷などのレビュー論文.
    • 「密度不連続線」から「密度傾度不連続」への認識の変化.「線」ではなく,「帯」(遷移帯を伴う)へ.
    • Vol. 60以後は,気象庁web (トップから「気象庁について」-「気象業務案内」-「刊行物・レポート」)からPDF取得可能. 過去のバックナンバー(vol. 59以後のみ)および紙媒体は,気象業務支援センターが販売.値段は1155〜3591円(checked: 2013-09-26).
    • 肝心の vol. 57 は発行リストに入ってない.もしや絶版か? 大学図書館などでは所蔵しているようだが.新規購入できないのかな?
  12. Yoshida and Asuma (2004, MWR p.1121-1142)
  13. Geng and Sugi (2003, J. Clim. p.2262-)
    • Title = Possible change of extratropical cyclone activity due to enhanced greenhouse gases and sulfate aerosols--Study with a high-resolution AGCM
    • 温暖化による低気圧活動の将来変化,(当時としては)高解像度なAGCM(T106)を使ったタイムスライス実験.
    • 2050年時点でのSST偏差,sea ice 分布を現在気候に上乗せした,いわゆる「疑似温暖化」
    • 低気圧密度は冬・夏ともに減少.特にNH冬季は,約7%減少.ただし「強い低気圧」だけで見れば増加(特に北半球の夏,東アジア~北太平洋で).
    • 低気圧活動の変化は,下層傾圧性と良く対応.北半球では,南北温度傾度の弱化が傾圧性の弱化をもたらす. 南半球では,鉛直安定度の増加が傾圧性の減少と結びつく.
  14. Paciorek et al. (2002, J. Clim. p.1573-)
  15. Stewart et al. (1998, Rev. Geophys. p.245-273)
  16. 中村・高藪 (1997, 天気 p.85-)
    • Title = Shapiro の新しい前線・低気圧モデル
    • 「天気」の解説記事.いわゆる S-model の低気圧に関して.従来のノルウェー学派による低気圧の概念モデル (N-model) との相違点など
    • p.87-88にて出てくる,重要キーワード(日本語): 対流圏界面の折れ込み (tropopause folding),前線断裂 (frontal fracture), 後屈温暖前線 (bent-back warm front), 前線Tボーン模様 (frontal T-bone), 温暖核の隔離 (warm-core seclusion)
    • その他の重要キーワード: WCB (warm conveyor belt), CCB (cold conveyor belt), dry slot, etc.
    • 低気圧に関する研究をおこなう学生さんたちへ: これはあくまでも「解説記事」. 低気圧研究の導入として読むべき文献の一つだが,個別テーマについて詳細を知る必要が出てきたら,必ず原典を読むこと. この文献だけを引用しておしまい... にしないように.
  17. Hoskins (1997, Meteorol. Appl. p.325-)
  18. Serreze (1995, Atmos.-Ocean p.1-23)
    • Title = Climatological aspects of cyclone development and decay in the Arctic
    • 北極域における低気圧の発達・衰退に関する気候学的研究
    • 長らく電子(PDF)版が入手できなかったが,いつのまにか出来るようになっていた(2013-02-26 確認). どうやら Free access journal になっていたようだ(2015-01-06). IF(2013) = 1.190
  19. Nakamura (1992, JAS p.1629-1642)
  20. S.-J. Chen et al. (1992, MWR p.3029-3035)
  21. S.-J. Chen et al. (1991, MWR p.1407-1418)
  22. Hoskins and Valdes (1990, JAS p.1854-1864)
    • Title = On the existence of storm-tracks
    • storm track による平均東西流との関係
    • NH の最大イーディ成長率 (the maximum Eady growth rate) の水平分布示した論文として よく引用されてる
  23. N.-C. Lau (1988, JAS p.2718-2743)
  24. Asai et al. (1988, Adv. Atmos. Sci. p.149-158)
  25. Hanson and Long (1985, MWR p.697-707)
  26. Roebber (1984, MWR p.1577-1589)
    • Title = Statistical analysis and updated climatology of explosive cyclones
    • いわゆる「爆弾低気圧」の発達率別の頻度分布を示した研究. 爆弾低気圧に関する最重要論文その2.
    • 論文では発達率が「2つ山」になることを示し, 爆弾低気圧の発達に対して「普通の温帯低気圧」とは 異なるプロセスが関与している可能性を示唆した.
    • ちなみに... その後の多くの研究では,発達率別の発生頻度の bimodal distribution は見えず, また急発達に対して特殊な要因があるわけでないと指摘. 私が調べた範囲では,爆弾低気圧とはいえ何か特殊な低気圧というわけではなく, 複数の要因(上層・下層渦のカップリング, 水蒸気凝結潜熱の増加による上昇流強化(CISK的な発達促進),など)の 非線型相互作用が発達率を大きくした,と見るべき.
  27. Browning and Monk (1982, Quart. J. Royal Met. Soc.)
  28. Shapiro (1981, JAS p.954-973)
  29. Sanders and Gyakum (1980, MWR p.1589-1606)
    • Title = Synoptic-dynamic climatology of the ``Bomb''
    • 急発達する低気圧を「爆弾低気圧」 (bomb cyclone, explosively deepening cyclone, etc.) と命名した論文.爆弾低気圧に関する最重要論文その1.
  30. Blackmon et al. (1977, JAS p.1040-1053)
  31. Eady (1949, Tellus)(OpenAccess)
  32. Charney (1947, J. Meteorology)
  33. Bjerknes and Holmboe (1944, J. Meteorology, p.1-22)
    • Title = On the theory of cyclones
    • ノルウェー学派 (Norwegian School) による低気圧モデル,後期の重要論文
  34. Bjerknes and Solberg (1922, MWR); 原著ではない.英文解説版.
    • Title = On the life cycle of cyclones and the polar front theory of atmospheric circulation
    • ノルウェー学派 (Norwegian School) による低気圧モデル,初期の重要論文
    • 原論文の電子媒体を発見できず.たとえ見つけても読めないだろうが.

See also Journal Info (hysk)

更新情報

  • 2014-12-08: Hodges による低気圧トラッキングの情報, Serreze and Barrett (2008, JC) の cyclone track データ(2.5度版,NNR1, Jan1958-Dec2008)の情報を掲載. 参考文献も前回更新から2年の間に少しずつ追記していた.
  • 2012-07-22: cyclone track frequency の図を追記. 前回更新以後,手元では少しずつ追記・修正していたものを公開サーバに反映.
  • 2012-01-19: 記述ミスの修正.「前線活動」の項目名だけは追加.参考文献追記.
  • 2011-08-16: 本ページの初公開

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